2019年8月号
2019年8月号
平成30年度版 在宅悪性腫瘍患者指導管理料、65歳 男性 肺がん、骨転移
肺がんによる骨転移のため、背部に強い痛みがあるとA総合病院から紹介となった。 初診の往診時には、オキシコンチン 40mg を1日2回、合計1日80mg投与されておりまだ痛みが残っており、その都度オキノーム散を頓服で服用していた。オキシコンチンを徐々に増量し、1回 60mgで1日120mgとした。
オキシコンチンの増量で痛みはいくらかおさまったが、やはり体を動かすと強い痛みがあり、まだまだ満足のできる状況ではなかった。鎮痛補助薬として、リリカの併用もしたがあまり痛みの緩和はできなかった。便秘も続いていることから、フェンタニルパッチ(フェントステープ、デュロテップMTパッチ)への変更も考えたが、かえって痛みが悪化するだろうと予測した。
体を動かすと脊椎に転移した癌の痛みで、ほとんどベッド上での生活となった。そこで、疼痛の緩和と、疼痛悪化時にすぐに効果が得られるように、PCAスイッチ(痛いときに押すと薬が早送りされるしかけ)の持続皮下注射を実施することとした。
持続皮下注射は、オキシコンチンから、オキファスト注射薬に変換し、ニプロ社のシュアフューザーで投与することとした。薬液は50mlなので、およそ4日分の充填をした。 内容 オキファスト 90mg/日 × 4日間 = 450mg (50mgアンプル(5ml) × 9アンプル)+ 生食 5ml 合計 50ml
以降は、往診を4日ごとに実施し疼痛の治療を行った。内服するよりも効果が確実となり、痛みがあってもボタンを押せばすぐに効果があることから、(10分以内)患者の満足を得られた。
2019年8月3日土曜日
在医総管のおさらい
◆C 002 在宅時医学総合管理料(通称・在医総管)月1回
患者の同意を得て、計画的な医学管理の下に月1回以上の定期的な訪問診療を行っている場合に月一回に限り算定する。カルテに管理指導内容を記入。
カルテ記載例
在宅時医学総合管理料
治療計画・生活指導内容
#1. 肺癌による癌性疼痛に対する治療 (薬物)、指導
#2. 生活を安定して送るための訪問看護師、介護職との連携
#3. 介護ベッド、訪問入浴など必要な物品の手配をケアマネージャーと連携して実施
#4. A総合病院との連携、主治医同士の連絡の徹底
◆C 108 在宅悪性腫瘍患者管理指導料(月1回)・・・在宅における末期悪性腫瘍の鎮痛療法または化学療法の患者に対して当該療法の指導管理を行った場合に算定。
鎮痛剤の経口投与では疼痛が改善しないため注射による鎮痛剤注入が必要なもの。
対象となる悪性腫瘍の患者が末期であるかどうかは在宅医の判断による。
病名:末期癌
薬剤(ここではオキファスト注)はレセプト上で(14)在宅薬剤とすること。
加算①か②どちらかを算定
① C 166 携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算(シュアフューザーの時)
または、
② C 161 注入ポンプ加算(シリンジポンプ)
麻薬を使わない持続皮下注射の時はこちらで算定。
◆G 000 皮内、皮下及び筋肉内注射
加算 精密持続点滴注射加算(1日につき)
在医総管(在宅時医学総合管理料)
初月は月2回以上訪問(初診・往診 + 訪問診療 1回)で算定できます。
または(退院時共同指導 + 訪問診療 1回)でも算定できます。
2ヶ月目からは、月1回以上訪問診療で在医総管が算定できます。
加算
①在宅移行早期加算(月1回)・・・1年以内に入院していた患者には、在宅移行早期加算が3ヶ月間に限り算定できます。
②頻回訪問加算(月1回)・・・末期の悪性腫瘍の患者であって、在宅での高度な指導管理を必要とする者に対し、1月に4回以上の往診または訪問診療を行った場合に算定します。(こちらは往診も含めてカウントできます)重症というのは、予測される生命予後とは関係ありません。
麻薬の処方
◆B 001 22 がん性疼痛緩和指導管理料(月1回)・・・麻薬処方した日に算定。
病名・癌性疼痛
麻薬と薬局:麻薬の種類が増えたこともあり、麻薬全てを取り扱っている薬局は少ないので、あらかじめどの薬局に何がおいてあるかリサーチは必要です。当院の経験では、患者さんが処方箋を持って薬局に行ったところ、麻薬の在庫がないため当日手に入らない場合がありました。ただし、特定の保険薬局へ誘導しないように気をつけましょう(保健医療機関の療養担当規則で禁止されています)
カルテ記載例(この項目は算定基準に定められています)
疼痛緩和指導管理料
(処方前)
強さ 強度
部位 背部、骨転移のため
性状 間欠的、突出痛
頻度 高い
(処方後)
効果 不良
投与薬剤 オキシコンチン 40mg を1日2回、オキノーム散 5mg 1回
副作用の有無 あり 便秘
指導内容 オキシコンチンの服用時間は毎日9時と21時とする。痛みがあるときには、まずオキノーム散を服用する。痛みがあるときに、オキシコンチン錠を追加しない。
B001 22 がん性疼痛緩和指導管理料 では、
(3) がん性疼痛緩和指導管理料を算定する場合は、麻薬の処方前の疼痛の程度(疼痛の強 さ、部位、性状、頻度等)、麻薬の処方後の効果判定、副作用の有無、治療計画及び指 導内容の要点を診療録に記載する。
と書かれています。その内容を反映しないと、算定できません。(個別指導の時にチェックされます)
ちなみに、
(1) がん性疼痛緩和指導管理料は、医師ががん性疼痛の症状緩和を目的として麻薬を投与 しているがん患者に対して、WHO方式のがん性疼痛の治療法(がんの痛みからの解放-WHO方式がんの疼痛治療法-第2版)に従って、
と書かれていますが、現時点でWHOのガイドラインは改訂されました。