2019年7月号
2019年7月号
平成30年度版 重度褥瘡処置、尿留置カテーテル設置、85歳男性 認知症、前立腺肥大、寝たきり
今まで通院していたA病院より、通院ができなくなったとのことで紹介となった。前立腺肥大のため自己排尿ができず、A病院では膀胱留置カテーテルが必要と本人に説明していた。
訪問診療を開始した月は、初診が4週目であったため一度往診したのみであった。しかし既に、自己排尿がなく尿閉となっていた。本人を説得し、膀胱留置カテーテルを初診時に挿入した。
月が変わり翌月には月2回の訪問診療を実施した。2回目の訪問診療の時に、膀胱留置カテーテルを入れ替えた。
その時に長期臥床のため、仙骨部に褥瘡を認めた。100cm2未満だが、皮下組織以上の褥瘡で、ドレッシング材、頻回の洗浄が必要であった。褥瘡の処置は訪問看護師に指示した。またドレッシング材は訪問薬剤師に指示した。さらに、褥瘡予防のエアマットの導入のため、訪問看護師を通じてケアマネジャーに依頼した。
2019年7月20日土曜日
病名:完全尿閉
算定:C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料
初診、往診しかしていないので「C002 在宅時医学総合管理料」は算定できません。初診+往診+在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定します。
「C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料」には「J063 留置カテーテル設置」が含まれるため、留置カテーテル設置の「手技料」は算定できません。
しかし、留置に使うカテーテル「膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル」だけは算定できます。レセプトの⑭在宅の「特定保健医療材料料」として算定します。
カテーテルとウロバッグが一体型のもの(リンク)は算定できます。
002在宅時医学総合管理料(月1回)を算定している月に留置カテーテルを交換した場合は、「カテーテル」「キシロカインゼリー」「バルーン固定水(蒸留水 20ml)」を算定します。(ただし、キシロカインゼリーの点数を認められないことがままあります。もちろん注射器や消毒薬の点数は算定できません。)
病名:仙骨部褥瘡
算定:J001-4 重度褥瘡処置(1日につき)
医師が褥瘡処置を行った時は㊵の処置で算定します。ただし皮下組織に至る褥瘡以上。
看護師や家族が処置を行うときは「J001-4 重度褥瘡処置」は算定できません。材料だけ⑭在宅薬剤で算定できます。在宅薬剤として認められている皮膚欠損用創傷被覆材(ドレッシング材)の種類を確認し、レセプトにはその商品名を記入します(原則3週間まで)。
また重度褥瘡処置は2ヶ月に限り算定します。従って、レセプトには、最初に算定した日付記入が必須です。レセプト上は、2ヶ月でいったん治癒とします。3ヶ月目に別箇所の褥瘡が発症した場合には、重度褥瘡処置は算定できます。
ドレッシング材は、在宅療養指導管理料を算定していれば、院外処方できます。(通常の処方箋に書くことができます)
ドレッシング材は原則3週間分までとされていますが、それ以上の期間が必要な場合は(たくさん使うとき)レセプトの適応欄に症状詳記を記載すると認められることがあります。(例; 褥瘡は治癒傾向にあるが、さらに2週間の治療を要するため)ところで、レセプトの症状詳記は簡潔に記載するのがコツです。症例報告のように長く書いても意味はありません。
算定:診療情報提供料1
医院から薬局に「訪問薬剤管理指導依頼書」を発行します。診療情報提供料が月1回算定できます。ただし、介護保険で居宅療養管理指導を算定している場合は、初回だけしか算定できません。(診療所はみなし事業所として介護保険の請求ができます)
訪問薬剤師さんの活躍
訪問薬剤師さんは、処方薬を患家に届けてくれるだけではありません。たとえば、フロリードゲル経口用2%の具体的な使い方を教えてくれたりします。また、その患者さんに合うガーゼや衛生材料、また褥瘡処置に使う被覆材等も持参してくれます。栄養補助食品(保険外)を提案することもあります。薬局が扱う物品には、在医総管に含まれていて医療機関で提供する物品と、患者さんが自費で負担する物品がありますので気をつけて下さい。在宅医療の現場では、情報力の豊かな薬剤師さんが持っている知識と行動力も患者さんの支えになっています。