2014年4月号

 
 

在宅がん医療総合診療料、居宅療養管理指導料、緊急往診加算 67歳 男 直腸癌 2

診療が開始して2ヶ月目、ある日麻痺している右半身に痙攣があり、患家より緊急の連絡が医院にあった。









重い病状と判断し、医師は予定を変更し即座に患家に向かった。

緊急往診すると、患者は右半身に痙攣発作を起こしていた。即座に痙攣に対して坐薬の処置を行いしばらく経過を見た。自ずと痙攣発作が落ち着いてきたため、救急搬送をせずにそのまま経過を見守ることとした。

今後の病状悪化に備えて、介護保険の申請を行うこととした。








痙攣発作は幸い落ちついた。3ヶ月が過ぎた頃から、意識の状態が悪化しほぼ寝たきりの状態となってきた。脳転移の悪化によるものと判断された。そのため、介護保険を利用しホームヘルパーの導入をし、食事の介助、訪問入浴を導入することとした。






















意識障害はあり会話は困難で終日寝たきりの状態ではあったが、他職種の関わりで、食事も可能で、清潔のケアもできた。状態からは今後も同状態が続くと考えて、医師は肢体不自由、体幹機能不全による身体障害を申請することとなった。

























診療開始から4ヶ月後、意識障害はあるが、食事もでき、痙攣もなく、痛みの悪化もなかった。ベッドでの生活が続いていたが、病状は小康状態となった。看病をしていた、妻も疲労のため十分な介護が出来ない状態となり、ホームヘルパーと訪問看護はほぼ連日必要なほど介助が必要となった。訪問看護が週に4日、訪問診療が1日となっていたため、在宅がん医療総合診療料で算定することとした。




































2015年3月11日水曜日

緊急コール・・・24時間対応の緊急電話は、平日9時〜17時の間は医院の事務員が取ります。(医師は診察中や運転中のことが多いので事務員の方が確実。)


事務員は、患者の状態や家族の訴えを聞き取り、医師に簡潔に伝えます。


夜間と休日は医師の携帯電話に繋がります。

ファーストコールは訪問看護ステーションの看護師が受けることも多いです。看護師が状況を判断して、必要なときには医師に出動を要請します。

往診料・・・患家の求めに応じて患家に赴き診療を行った場合のみ算定。

(往診料+再診料+外来管理加算)

カルテ、レセプト共に、理由を必ず記載します。例:[痙攣発作のため][呼吸状態の悪化][発熱のため][癌性疼痛の悪化]etc.


緊急往診加算・・・概ね8時〜13時の診療時間中に(診療中の患者さんを待たせて)速やかな往診が必要な場合にのみ算定できます。具体的には、急性心筋梗塞、急性腹症etc.


当院では、[痙攣発作]や[癌性疼痛の悪化]でも緊急往診加算を算定することがあります。(往診料+緊急往診加算+再診料+外来管理加算)

カルテ、レセプトには時間を必ず記載します。例:[10:00ー10:40]

末期癌患者が、介護保険で受けるサービスは以下のようなものがあります。

○用具の貸与:ギャッジアップのできるベッド、床ずれ防止エアマットetc.

○用具の販売:ポータブルトイレetc.

訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問薬剤、訪問入浴等は原則として介護保険を使います。


末期癌患者は、トイレへ行けなくなってから亡くなるまでの期間が短いため、ポータブルトイレが十分活用できないことも多い。また住宅改修をしても状態の悪化が早いためほとんど活用できない。

(おおむね動けなくなった末期癌患者の予後は2週間以内が多い)

算定:居宅療養管理指導料(月2回)国保連合に請求 

(居宅サービス介護給付費明細書)

算定の要件として、医師は「居宅療養管理指導書」を月2回、担当ケアマネジャーにFAXします。内容は、①居宅介護支援事業者に対する、居宅サービス計画作成等に必要な情報提供。②利用者及び家族等に対する、居宅サービスを利用する上での留意点、介護方法等についての指導・助言。


注意:介護保険のサービスを受けられるのは65歳以上ですが、40歳〜64歳の方(2号保険者)でも特定の疾病があると介護保険を使うことができます。癌もその一つです。

☆身体障害者手帳

医師は「身体障害者診断書・意見書(肢体用)」を作成します。

患者は、写真を添えて居住地の福祉事務所または市区町村の担当課に申請します。1ヶ月程度で「手帳」が交付されます。医療費の助成については、都道府県・市町村によって異なりますが、障害者の医療費助成制度により医療費の一部負担が助成されます。自立支援医療費(更生医療)支給認定申請をします。


神戸市の場合は、身体障害者手帳1級か2級であること、所得制限限度額未満であることなどの条件はありますが「重度障害者医療費受給者証」または「医療費助成資格認定通知書」が発行されます。


ただし、医療保険の対象ではない医療費や、医療保険の対象であっても訪問看護ステーションによる訪問看護は、助成の対象になりません。(神戸市の場合)


☆特別障害者手当・・・精神又は身体に著しい重度の障害があるために、日常生活において常時特別の介護が必要な20歳以上の在宅障害者に支給されます)支給金額は月額26,080円。

身体障害者手帳とは別に申請が必要です。

医師は、特別障害者手当認定診断書(肢体不自由用)を作成します。

患者は、居住地の福祉事務所または市町区村の担当課に申請します。

算定:在宅がん医療総合診療料(1日につき)

算定要件・・・末期の悪性腫瘍の患者に対して、訪問診療と訪問看護合わせて週4日以上になる時。

ただしそのうち1回以上は訪問診療。また訪問看護も1回以上必要。医師2回+看護師2回でも算定可。しかし、医師と看護師が同日に訪問した場合は、訪問診療しかカウントできません。


1週間の考え方ですが、必ず日曜から土曜を暦週として考えます。1週間の要件を満たしているかどうかは、こんな風に医師、看護師がそれぞれ訪問した日をカレンダーに書き込むとよくわかります。









要件を満たせば、訪問した日が4日であっても、7日分の点数を算定できます。この症例では6月の2週目3週目4週目が「在がん医総」の要件をクリアしているので、6月8日(日)から3週間算定。レセプトに日付が必須です。訪問診療◌日、訪問看護◌日と記入します。


ちなみに1週間のうちに院外処方箋を発行した日があれば1週間分を「院外処方箋を交付する場合」で算定。それ以外は「院外処方箋を交付しない場合」で算定。週単位で算定を変えることができます。


☆併算定可:「在宅酸素療法指導管理料」や「在宅中心静脈栄養法指導管理料」「訪問看護指示料」検体検査判断料等は、「在がん医総」を算定する前日までのものは算定することができます。在宅ターミナルケア加算、看取り加算も可です。


☆併算定不可:同月の「在宅時医学総合管理料」は算定できません。診療にかかる費用、院内処方の薬剤、診療情報提供料なども算定不可です。

在宅がん医療総合診療料は、頻回の訪問診療と訪問看護が必要な患者に適用します。訪問診療、往診、訪問看護を頻回利用していると、回数に応じて費用がどんどん嵩みます。「在がん医総」にすると患者側の利点としては、訪問回数が例えば一日に何度も訪問してもらうなど増えたり、色々な処置を受けたりしても、費用のことをあまり心配せずに、きめ細かい医療が受けられることがあります。ただし、交通費は訪問の度に発生するので、回数が多くなると患者の自己負担金額は大きくなります。


患者に、診療報酬の詳しい仕組みは説明しづらいのですが、「これから看護師や医師の訪問回数が増えた時に、何度訪問しても1日あたり決まった点数になるやり方があるのでそれでやっていこうと思います」などと医師から簡単に説明しておきます。「まるめ」「包括」のことです。


注意:「在がん医総」は、自院の看護師が訪問する場合は問題ないのですが、訪問看護ステーションから看護師が訪問している場合は、医院とステーションの取り分などルールを前もって決めておきましょう。トラブル回避のために大切なことです。