2014年3月号
2014年3月号
初診までの手続き、退院時共同指導料、がん性疼痛緩和指導管理料、重症者加算、在宅移行早期加算
67歳 男 直腸癌
直腸癌のため人工肛門造設術が施行された。脳転移もあるため、軽い右半身麻痺があった。できるだけ家で過ごしたいということで、訪問診療を中心とした対応を本人、家族が希望された。
A総合病院の地域連携室より当院へ打診があった。本人はまだ入院中であったためまず家族のみ診察室にお越し頂き、ご本人の状況と、ご家族の状況を伺った。
A総合病院で実施している治療、看護ケア、リハビリのことを確認し引き継ぎを行う目的と、本人、家族への面接のために、退院前カンファレンスを実施した。
当日は、A総合病院の主治医より、病状、治療内容について、本人、家族立ち会いの下で説明があった。当院の医師、訪問看護ステーションの看護師も同席した。
退院の翌日に、初回の訪問診療を実施した。家の中を移動することには全く問題なく、訪問でのリハビリテーションを実施することとなった。
翌週の2回目の訪問診療のときに、殿部に中等度の痛みがあることが分かった。直腸癌は手術ですべて摘出できなかったため、旧肛門部の痛みがあった。経口の医療用麻薬の投与を開始した。
退院後1ヶ月は毎週訪問し、初回月は4回の訪問診療を実施した。
2014年3月25日火曜日
家族面談
☆持ち物:保険証、介護保険証、紹介状(診療情報提供書、画像等)、銀行通帳と印鑑(医療費の徴収方法によっては不要)
☆家族のみ来院の場合
面談時間は1時間ほど。面談は自費診療となります。(当院は、面談料5000円)
患者本人も来院の場合
ご家族と一緒に患者さんご本人も面談に来られたときは、初診料を算定します。(本人が診察に来ていないのに初診料を算定してはいけません)
医師は、面談で
1.患者と家族が家でどんな暮らしをしているか、1日のスケジュールについて
2. 病気の影響をどの位受けているか、
3. 何にいちばん困っているかなど問診しながら話を進めます。入院中でも自宅で生活していても1日の過ごし方を朝起きてから夜眠るまで伺う事で、状況がよく分かります。
1. 訪問診療は患者が同意していなければおこなえません。医師との面談で訪問診療に同意が得られたら、必ず同意書を書いてもらいます。家族の代筆も可とします。
2. 在宅医療のシステムを説明します。スケジュールを組んで訪問診療を行うこと、その診療の進め方、家での暮らしをどう工夫するか、緊急時は365日24時間対応すること等をお話します。
患者さんに渡す必要書類 (1月号も参照)
1. 訪問診療同意書(家族の代筆でもよい)
2. 1か月の訪問日予定カレンダー、在宅医療計画書、緊急連絡先
退院時共同指導は、指導内容を書面にして患者に渡し、カルテにも貼付します。 (別紙参照)
算定:
①退院時共同指導料1
②退院時共同指導料特別管理指導加算・・・在宅時気管切開患者指導管理など特別な管理を要する状態の場合に算定できます。この方は、人工肛門を付けているので算定可。
☆費用の説明
1ヶ月あたり幾らほど掛かるか、患者さんの自己負担割合別にできるだけ具体的にお伝えします。1割負担の方は○○円、3割負担の方は○○円と。この方は国民健康保険、67才、3割負担なので、月4回の定期訪問で約27000円〜となります。
プラス交通費が自費で発生することもお伝えします。(当院は1回につき550円〜1100円。高速道路を使うほど遠い地区の方だけ1100円です。そして平日夜間の緊急往診および土日祝日の緊急往診は、それぞれ+550円することにしました。
費用の支払い方法は、当院では1ヶ月分まとめて口座振替と決めていますので、その手続きもします。(あらかじめ代行業者と契約しておきます。)
訪問リハビリテーションを訪問看護ステーションに依頼する時には、訪問看護指示書を発行します。(別紙参照)
訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問薬剤などは、介護保険優先という原則がありますが、この方は介護保険を申請していないため医療保険を使うことになります。
算定:訪問看護指示料
麻薬の処方
麻薬の処方箋の必要記載事項。
備考欄に①麻薬施用者番号②患者住所
当院では、処方箋をあらかじめ作って往診に持って行き、患家で自筆修正します。(修正したときは押印、「以下余白」 も忘れずに書きます)
麻薬が出そうなときは麻薬の処方箋を持って行けばいいのですが、突然の時は、備考欄に①②を書くのを忘れないよう注意が必要です。
算定:がん性疼痛緩和指導管理料
麻薬を処方した当日に算定します。
カルテにサンプルのような記述が必要です
カルテのサンプル
疼痛緩和指導管理料
(処方前)
強さ 中程度 (NRS 4)
部位 旧肛門部
性状 がん性疼痛
頻度 間欠的
(処方後)
効果 良好、ほとんど痛み無し
投与薬剤 オキシコンチン5mg 2錠 1日2回 12時間ごと。オキノーム2.5mg 1包 頓用
副作用の有無 無
指導内容 オキシコンチンを服用していてもなお疼痛があるときには、頓用でオキノームを服用する。
算定:在宅時医学総合管理料(月2回以上の訪問診療を行った時。)
注意。2014年4月の改定では、「往診を含む」 という文言が削除されているようです。つまり「訪問診療だけで2回以上」と条件が厳しくなったということですね。
算定:重症者加算
(在宅時医学総合管理料の加算)
末期の悪性腫瘍の患者であって、在宅での高度な指導管理を必要とする者に対し、1月に4回以上の往診又は訪問診療を行った場合に算定します。
算定:在宅移行早期加算
(在宅時医学総合管理料の加算)
在宅医療に移行後3か月間算定できます。在宅医療に移行後1年経過していたら算定不可。レセプトには[算定開始○年○月○日]と記載が必要。この患者さんは、退院して家に帰られたので、この月から3ヶ月に限り算定できます。