2014年12月号

 
 

シャーマンドクター

この1年間、しんじょう医院での取り組みから学んだ、医療のお金に関することをまとめて公表してきました。在宅の保険点数はとてもわかりにくいと言われることから、調べながら得たノウハウを惜しげもなく公表することは、院長である私と事務員の考えでした。きっとどこかで困っている方がいてその方に届けば良いなと思い、取り組んで参りました。この連載が終わってからも何らかの方法で本ページにたどり着いた方、どうか参考にして下さい。


さて、私は医師で医療技術よりもむしろ、医療の歴史的な呪術性をとても重視しています。特定の物質や技術、薬や医療処置で人は癒やされるのではないと確信しているからです。特に在宅医療のような、先進的な医療技術からは遠い医療現場でもなお、医療の力を最大化するには、この呪術性を利用するほかありません。「(患者自身が)私が分からないことを、この医師は見通している」そして、「先生に診てもらえただけで、何だか良くなった気がします」というのが呪術性の基本だと思っています。

呪術性を損なうものは、あからさまな自分の開示です。私は絶対に普段着では診察に伺いません。必ず白衣を着て、自分自身の社会的な役割を演じます。そして、患者、家族の方とは直接お金のやりとりは一切致しません。銀行の引落や、事務の方を通じてお金をやりとりします。また、あからさまなコスト計算、物品の値切り交渉、医療・衛生物品のコストを最小化することにも関心を示しません。全ては自分の周囲の方々にお任せしています。


もちろん私の仕事を最大限保険点数として、換算し医院の経営の安定化には格段の努力を必要とします。そんな、私の医師としての信念と医院の経営を支えて下さる事務員の方々と、周囲の人たちに深く感謝しています。

しんじょう医院 院長 新城 拓也